住まいや布団のダニの基礎知識

快適な住環境を得るための住まいや布団のダニ、アレルギーの原因となるアレルゲンの基礎知識、布団のダニやダニアレルゲンの除去方法についてご紹介しています。住まいや布団のダニ対策やアレルギー対策にお役立てください。

住まいのダニについて

ダニが人間生活に及ぼす影響は多様ですが、近年のアレルギー疾患の増加傾向とともに住まいのダニ問題がクローズアップされています。

ダニアレルギー疾患の増加要因については、室内環境に限ってみれば、住宅構造の高気密、高断熱化とともに、住む人の温湿度の快適性追及、核家族化による室内の閉鎖時間の延長、掃除実施頻度の低下など、本来環境抵抗性の低いダニにとって、生息環境がよくなってきたのが一因と考えられます。

住まいのダニの発生条件

  • 高温多湿の環境があること
    私たちが使う温度20〜30度、湿度60〜80%の生活環境がダニとって望ましい環境です。しかし、生息や繁殖ができる環境はもっと広く、温度10〜35度、湿度50〜90%です
  • エサがあること
    住まいのダニは室内の塵(ハウスダスト)を食べています。塵はフケ、アカ、花粉などいろいろな成分からできています。ダニは種類によって好みが異なりますがフケ、アカ、カビを好んで食べるチリダニが室内に最も多くいます。
  • 潜れる場所があること
    室内のダニは背光性のダニがほとんどで、光に背を向けて逃げます。日光や電灯の光のあたらない場所で、掃除機等で除去されにくい場所がダニの繁殖場所です。ダニの多い場所はジュータン、布製ソファー、布団などの寝具です。 住まいのダニの発生条件についてご紹介しています。

室内の塵性ダニについて

わが国の室内塵性ダニによる被害は、近年住居環境や生活様式の変化によりダニ類が繁殖しやすい温湿な条件に近づいてきたため、被害が急増しています。

ツメダニ類は人を刺し、一種のアレルギー性の皮膚炎を起こし、チリダニ類の生体、死骸の破片、糞、脱皮殻などはアレルギー性喘息などの重要な抗原となっています。

室内より検出されるダニの種類

室内からは5亜種、60種類以上のダニが記録されていますが、普遍的に見られるのは下表に示すようなダニ類です。

亜目名 種類 形態 生態など
無気門亜目 コナヒョウヒダニ
ヤケヒョウヒダニ
(チリダニ類)
いずれも成ダニの体長0.4mm乳白色で、腹部後方に剛毛がある ハウスダストの中に多い、特に使用頻度の高い寝具カーペットなどに多く、いずれもアレルゲン性のダニとして重要
ケナガコナダニ 成ダニの体長0.4mmで体表に多数の長い剛毛を有する チリダニ類より高湿度でよく繁殖する、屋内では新しい畳や保存食品にも発生が見られる
前気門亜目 フトツメダニ 成ダニの体長約0.7mm全体淡黄色、触肢が発達している 他のダニや小昆虫を餌とする捕食者である、人を刺し、皮診を起こす
ミナミツメダニ 成ダニの体長約0.4mmで淡黄〜淡黄褐色、 前種同様の捕食者で、夏期に新しい畳から多数発生し、人を刺し、皮診を起こす、本種による被害は多い
ナミホコリダニ 成ダニの体長約0.2mmで淡黄色光沢がある、小型で第4脚に特徴がある 生態の詳細は明らかでない、ハウスダストからの検出頻度は高い
中気門亜目 フツウマヨイダニ 成ダニの体長約0.6mmで淡黄色、体は肥厚板で被われている 自由生活性の捕食者とされているが詳細は不明、ハウスダストからの検出頻度は高い
隠気門亜目 イエサラダニ 成ダニの体長約0.3mmで乳白色で細長い 生態は不明の部分が多いが、室内塵からの検出頻度は非常に高く、前出のミナミツメダニとの相関が高い
カザリヒワダニ 成ダニの体長約0.4mm全体褐色で甲虫のような特異な形態をしている 生態は不明、本種も室内塵からの検出頻度が高い

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個体数が多く、アレルギーの原因になるチリダニ

室内のダニを調べるとチリダニが70%以上を占め、そのチリダニの90%以上をヒョウダニ属が占め、その99%以上をヤケヤヒョウヒダニとコナヒョウヒダニがしめています。

チリダニとは科名で、日本で記録されているのは、シワダニ、ヤケヒョウヒダニ、コナヒョウヒダニ、イエチリダニ、ニセチリダニの5種類です。

その中でも特に問題となるのはヤケヒョウヒダニとコナキョウヒダニです。二種類のダニのみが問題になるのは1.ダニ数が多く、構成比率が高い、2.ダニ成虫、死骸、糞のいずれもがアレルゲン(アレルギー反応を起こす原因物質)になる、3.ダニ成虫を殺しただけでは駆除にならないなどの理由です。

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アレルギーの原因はチリダニの成虫より糞が重要

チリダニの成虫よりも糞が重要であることは理解しにくいかもしれませんが、それには、次の理由があります。

  • チリダニの糞は小さく、気管に入りやすい
    チリダニの成虫の大きさは体長約0.4mm、幼虫は約0.2mmです。人の気管に入る大きさは0.01mm以下といわれており、大きな糞は気管に入らないと思われるかもしれませんが、乾燥すると粉々に壊れ気管に入ります。
  • 糞の量が多い
    チリダニは毎日平均約6個の糞をし、卵から成虫に約一ヶ月、成虫になってから約二ヶ月〜三ヶ月は生きるので、少なくとも一生に約500個の糞をします。
  • アレルギー活性が高い
    チリダニの糞のアレルゲン物質の分子量は虫体の約2倍あり、分子量が多いだけでなく、アレルギー反応をスムーズに起こさせやすいのが、糞の分子量のほうです。

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人が一日に吸うダニの糞アレルゲン量

空気中に浮遊している糞アレルゲン量は、静かにしている状態と、掃除機や扇風機をかけたり、布団を上げ下げしている状態とは異なります。

人も動物も入らない静止状態では、一立方メートル当り1ピコグラム以下かゼロの糞アレルゲン量ですが、人や動物が室内を往来すると平均約30ピコグラムにもなります。

寝室の空気一立方メートル中に漂っている糞アレルゲン量は、平均で約100ピコグラムですが、汚れた寝具を使って寝ると、枕元には100〜650ピコグラムの糞アレルゲンが舞い、その空気を吸いながら寝ていることになります。

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室内のチリダニ数と糞アレルゲン量の多い場所

室内にはダニに向いている場所とダニに好まれない場所があります。チリダニの繁殖に向いている場所は当然ダニの数や糞アレルゲン量も多くなります。

チリダニの多い場所は、ジュータンや畳、布製ソファー、布団などの寝具類、衣類、ぬいぐるみなどです。

一立方メートル当りのチリダニ数と糞アレルゲン量

場所 ダニの数 糞アレルゲン量
畳表面 約100匹 100ng
ジュータン表面 約250匹 500ng
布団表面 約100匹 400ng
板床表面 約10匹 10ng以下

畳とジュータンはチリダニ数の多い場所で糞アレルゲン量との相関関係が高くなるのは納得できますが、布団は畳表面と同じダニ数なのにジュータン並の糞アレロゲン量です。これは、粉々になった糞アレルゲンが生地を通過しやすいからです。

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布団のダニとアレルゲンの減少法

布団に多く潜むチリダニは人を刺すダニ類と異なり、殺しただけでは解決になりません。生きたダニだけではなく死骸や糞もアレルゲンになるからです。

ダニを防ぐという観点からは、天日干しや乾燥機による乾燥だけでも目的を達することはできますが、布団の場合に問題となるのはダニアレルゲンなので、乾燥だけでは逆効果になりかねないこともあります。ダニの糞などのアレルゲンが乾燥して、より細かくなるからです。

布団のダニとアレルゲンは丸洗いと掃除機で減らせる

布団のダニを駆除することは除去することなのです。除去方法は二つあり、一つは布団丸洗いで洗い流すこと、二つ目は掃除機で取り除くことです。

布団丸洗いによる方法

布団を丸洗いするとチリダニの糞アレルゲンはよく落ちます。糞が水溶性だからです。

布団のダニアレルゲンは布団丸洗いで落せる

布団の丸洗いと、布団丸洗い後のタンブラーによる復元工程により、布団表面のチリダニも、布団中綿の糞アレルゲンも95%以上除去されます。

掃除機による方法

布団を掃除機で吸うだけではダニや糞アレルゲンは除去できません。ホコリの影響が及ばない場所で布団をたたくことにより布団内部のダニと糞アレルゲンを表面に出した後、丁寧に、繰り返し布団の表面に掃除機をかければ、ダニ数も糞アレルゲンも、最高で50%の除去ができます。

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布団クリーニングご利用案内

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ふかふかの清潔な布団でぐっすりお眠りください

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